文字式の計算に慣れてきたところで、いよいよ数学の大きなテーマである「方程式(ほうていしき)」の世界に入ります。方程式は、分からない数(未知数)の謎を解き明かすための、強力な推理ツールです。
方程式の心臓部は「=
」(イコール、等号)です。これは、=
の左側(左辺)と右側(右辺)が、まるで天秤(てんびん)のように「完璧に釣り合っている」状態を表しています。
方程式とは?
x
などの文字を含む等式(=で結ばれた式)のうち、その文字x
に特定の数字を代入したときだけ成り立つもののこと。
例えば
$$x + 3 = 8$$
という式は、x
が5
のときだけ8 = 8
となって釣り合いますが、x
が1
のときは4 = 8
となり釣り合いません。このように、式を成り立たせる特別な値が存在するものが方程式です。
方程式の基本用語
- 左辺 (さへん):
=
の左側の式。 - 右辺 (うへん):
=
の右側の式。 - 両辺 (りょうへん): 左辺と右辺の両方のこと。
- 方程式を解く (とく): 式を成り立たせる文字の値を求めること。
- 解 (かい): 方程式を成り立たせる文字の値のこと。例: の解は
方程式の性質
天秤が釣り合っているとき、両方のお皿に同じ重さのものを乗せたり、両方のお皿から同じ重さのものを下ろしても、釣り合いは保たれますよね。方程式もそれと全く同じ性質を持っています。
【等式の性質】
両辺に同じことをしても、等式(
両辺に同じことをしても、等式(
=
の関係)は成り立つ!
- 両辺に同じ数や式を足してもよい。
- 両辺から同じ数や式を引いてもよい。
- 両辺に同じ数を掛けてもよい。
- 両辺を0でない同じ数で割ってもよい。
この「両辺に同じ操作をしても良い」という性質こそが、方程式を解くための最も基本的で重要な考え方になります。これから、この性質を使ってx
の正体を突き止めていくことになります。