因数分解には、前回の公式には当てはまらない、最もよく登場するパターンがあります。それが `\(x^2+5x+6\)` のような、`\(x^2 + (\text{和})x + (\text{積})\)` の形です。
この因数分解は、まるで数字探しのパズルのようです。解き方のコツさえ掴めば、誰でもマスターできます。
目指す形とその仕組み
このタイプの因数分解では、最終的に `\((x+a)(x+b)\)` という形を目指します。この式を展開するとどうなるか、思い出してみましょう。
$$(x+a)(x+b) = x^2 + (a+b)x + ab$$
この展開結果と、もとの式 `\(x^2+5x+6\)` を見比べてみると、重要なヒントが隠されています。
因数分解のヒント
\(x^2 + \underline{5}x + \underline{\underline{6}}\) を \((x+a)(x+b)\) の形にするには…
足して
「積」から探すのがセオリー
「足して〇、掛けて△」になるペアを探すときは、足し算の組み合わせよりも、掛け算の組み合わせの方が候補が少ないため、「積」から探すのが定石です。
例題1
\(x^2 + 7x + 12\) を因数分解しなさい。
手順①:「和」と「積」を確認する
足して「+7」、掛けて「+12」になる2つの数を見つけるのがゴールです。
手順②:掛けて「+12」になる数のペアをリストアップする
- 1 と 12 (和は13)
- 2 と 6 (和は8)
- 3 と 4 (和は7) ← これだ!
- -1 と -12 (和は-13)
- -2 と -6 (和は-8)
- -3 と -4 (和は-7)
手順③:条件に合うペアを見つけて、式を完成させる
見つけたペアは「+3」と「+4」なので、これをカッコの中に入れます。
$$(x+3)(x+4)$$
例題2:負の数がある場合
\(x^2 – 3x – 10\) を因数分解しなさい。
手順①:「和」と「積」を確認する
足して「-3」、掛けて「-10」になる2つの数を見つけます。
手順②:掛けて「-10」になる数のペアをリストアップする
積がマイナスなので、2つの数はプラスとマイナスのペアになります。
- 1 と -10 (和は-9)
- -1 と 10 (和は9)
- 2 と -5 (和は-3) ← これだ!
- -2 と 5 (和は3)
手順③:条件に合うペアを見つけて、式を完成させる
見つけたペアは「+2」と「-5」なので、これをカッコの中に入れます。
$$(x+2)(x-5)$$