二次方程式の解き方には、「因数分解」と「解の公式」の他に、もう一つ「平方完成(へいほうかんせい)」を利用した方法があります。この方法は、解の公式を自分で導き出す過程にもつながる、とても重要な考え方です。
平方完成のゴールは、方程式を \((x+p)^2 = q\) の形に変形することです。この形にできれば、あとは平方根の考え方を使って簡単に解くことができます。
平方根の考え方を使った解き方
まず、平方完成のゴールである \((x+p)^2=q\) の形の方程式を解く練習をしましょう。
例題1
\(x^2 = 9\) を解きなさい。
これは「2乗して9になる数\(x\)は何か?」という意味なので、\(x\)は9の平方根です。
$$x = \pm\sqrt{9}$$
$$x = \pm3$$
例題2
\((x-1)^2 = 7\) を解きなさい。
手順①:( )を一つの塊とみて、平方根を考える
「\(x-1\)」という塊は、2乗すると7になる数なので、7の平方根です。
$$x-1 = \pm\sqrt{7}$$
手順②:移項してxを求める
-1を右辺に移項します。
$$x = 1 \pm\sqrt{7}$$
平方完成のやり方
では、どうすれば \(x^2+6x-1=0\) のような式を \((x+p)^2=q\) の形に変形できるのでしょうか。
平方完成の手順
\(x\)の係数の「半分の2乗」を、両辺に足す!
例題3
\(x^2 + 6x – 1 = 0\) を平方完成で解きなさい。
手順①:定数項を右辺に移項する
$$x^2 + 6x = 1$$
手順②:\(x\)の係数の「半分の2乗」を両辺に足す
\(x\)の係数は「6」。その半分は「3」、3の2乗は「9」です。この「9」を両辺に足します。
$$x^2 + 6x + 9 = 1 + 9$$
手順③:左辺を因数分解し、右辺を計算する
左辺は \(a^2+2ab+b^2\) の形になっているので、因数分解できます。
$$(x+3)^2 = 10$$
手順④:平方根の考え方で解く
あとは例題2と同じです。
$$x+3 = \pm\sqrt{10}$$
$$x = -3 \pm\sqrt{10}$$