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3-5-3.三平方の定理と証明

中学数学の図形の単元で最も有名で、最も強力な定理の一つが、この「三平方の定理(さんへいほうのていり)」です。古代ギリシャの数学者ピタゴラスが発見したとされることから、「ピタゴラスの定理」とも呼ばれます。

この定理は、直角三角形の3つの辺の長さの間に成り立つ、驚くほどシンプルで美しい関係を示しています。


三平方の定理

三平方の定理

直角三角形の、直角をはさむ2辺の長さをそれぞれ\(a, b\)、斜辺(しゃへん)の長さを\(c\)とすると、次の関係が必ず成り立つ。

$$a^2 + b^2 = c^2$$

【言葉の覚え方】 (短い辺)² + (もう一つの短い辺)² = (一番長い斜辺)²

この定理のすごいところは、直角三角形の2辺の長さが分かっていれば、残りの1辺の長さを必ず計算で求めることができる点です。

例題

直角をはさむ2辺の長さが3cmと4cmの直角三角形の、斜辺の長さを求めなさい。


斜辺の長さを\(x\)cmとします。三平方の定理にあてはめると、

$$3^2 + 4^2 = x^2$$

$$9 + 16 = x^2$$

$$25 = x^2$$

\(x\)は2乗すると25になる数、つまり25の平方根です。辺の長さに負の数はないので、\(x > 0\)です。

$$x = 5$$

答え:5cm


三平方の定理の証明

この美しい定理が本当に成り立つのか、図形を使って証明してみましょう。証明方法は数多く知られていますが、ここでは正方形を使った有名な証明を紹介します。

図形を使った証明

【証明のすじみち】
大きな正方形の面積を、2つの違う方法で表して、それらをイコールで結びます。

  1. 大きな正方形の面積(その1)
    1辺の長さが \((a+b)\) なので、面積は \((a+b)^2\) です。
  2. 大きな正方形の面積(その2)
    中の図形を足し合わせる方法です。真ん中にある、1辺が\(c\)の正方形(面積\(c^2\))と、4つの合同な直角三角形(面積\(\frac{1}{2}ab\)が4つ)の合計です。
    面積は \(c^2 + 4 \times (\frac{1}{2}ab) = c^2 + 2ab\) となります。
  3. 2つをイコールで結ぶ
    どちらも同じ正方形の面積なので、イコールで結べます。
    \((a+b)^2 = c^2 + 2ab\)
    左辺を展開すると、
    \(a^2 + 2ab + b^2 = c^2 + 2ab\)
    両辺から\(2ab\)を引くと…

$$a^2 + b^2 = c^2$$

となり、三平方の定理が証明できました!


理解度チェック

この小単元の内容が理解できたか、テストで確認しましょう。

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