三平方の定理 \(a^2+b^2=c^2\) は、直角三角形の辺の長さを求める以外にも、平面図形の様々な長さを計算するために応用できます。座標平面上の2点間の距離や、いろいろな図形の高さや対角線を求めるときなど、その活躍の場は非常に広いのです。
応用問題のコツは、求めたい長さを含む「直角三角形」を自分で見つけ出すことです。
平面図形への利用
例題1:長方形の対角線の長さ
縦が5cm、横が10cmの長方形の対角線の長さを求めなさい。
【考え方】
長方形に対角線を1本引くと、そこには2つの直角三角形ができています。求めたい対角線は、その直角三角形の「斜辺」にあたります。
対角線の長さを\(x\)cmとすると、三平方の定理より、
$$5^2 + 10^2 = x^2$$
$$25 + 100 = x^2$$
$$x^2 = 125$$
\(x > 0\) なので、\(x = \sqrt{125} = \sqrt{5^2 \times 5} = 5\sqrt{5}\)
答え:\(5\sqrt{5}\) cm
例題2:円の弦の長さ
半径5cmの円があります。円の中心Oから3cmの距離にある弦ABの長さを求めなさい。
【考え方】
円の中心Oと、弦の端点Aを結ぶと半径になります。また、中心Oから弦ABに垂線を引くと、弦ABは二等分されます。このとき、直角三角形OAMができます。
△OAMにおいて、斜辺OAは半径なので5cm、辺OMは3cmです。AMの長さを\(x\)cmとすると、三平方の定理より、
$$x^2 + 3^2 = 5^2$$
$$x^2 + 9 = 25$$
$$x^2 = 16$$
\(x > 0\) なので、\(x = 4\)。よってAMの長さは4cmです。
求めたいのは弦ABの長さであり、これはAMの2倍なので、\(4 \times 2 = 8\)。
答え:8 cm
座標平面への利用
座標平面上の2点間の距離も、三平方の定理を使えば簡単に求めることができます。
例題3:2点間の距離
座標平面上の2点、A(1, 2)とB(4, 6)の間の距離を求めなさい。
【考え方】
点Aと点Bを結び、この線分ABを斜辺とする直角三角形を描きます。
・直角三角形の横の長さは、x座標の差なので \(4 – 1 = 3\)
・直角三角形の縦の長さは、y座標の差なので \(6 – 2 = 4\)
ABの距離を\(d\)とすると、三平方の定理より、
$$d^2 = 3^2 + 4^2$$
$$d^2 = 9 + 16 = 25$$
\(d > 0\) なので、\(d=5\)。
答え:5