文字式の加法・減法では「同類項」がキーワードでしたが、乗法(掛け算)・除法(割り算)では新しい強力な武器が登場します。それが「分配法則(ぶんぱいほうそく)」です。そして、除法はこれまでと同じく「逆数(ぎゃくすう)」を使って掛け算になおすのが基本です。
乗法(掛け算)のルール
文字式の掛け算は、大きく分けて2つのパターンがあります。
パターン1:(文字式) × (数)
これはシンプルです。式の数字の部分(係数)に、数を掛けるだけです。
$$5x \times 3 = (5 \times 3)x = 15x$$
パターン2:(カッコのある式) × (数) ←【超重要】
カッコのついた式に数を掛けるときは「分配法則」を使います。
カッコの外の数を、カッコの中の全ての項に、公平に掛け算する。
カッコという家のなかにいる全員に、新聞を配るようなイメージです。次の問題を練習してみましょう。
$$3(2a – 7)$$
この場合、外の3
を中の2a
と-7
の両方に掛け算します。
$$= 3 \times 2a + 3 \times (-7)$$
$$= 6a – 21$$
除法(割り算)のルール
もうお馴染みになりましたね。割り算が出てきたら、まずやることは一つです。
割り算は、逆数を使って掛け算になおす!
掛け算になおしてしまえば、あとは分配法則が使えるので簡単です。次の問題を練習してみましょう。
$$(9x – 12) \div 3$$
まず、÷ 3
を逆数を使った掛け算× 1/3
になおします。
$$= (9x – 12) \times \frac{1}{3}$$
ここまできたら、もう乗法の問題と同じですね。カッコの外の1/3
を、分配法則を使ってカッコの中の9x
と-12
の両方に掛け算します。
$$= 9x \times \frac{1}{3} – 12 \times \frac{1}{3}$$
$$= 3x – 4$$
別解:分数の形で考える
割り算は分数の形でも考えられます。(9x-12)÷3
は
$$\frac{9x-12}{3}$$
と同じです。ここから、分母の3
で分子の項を一つずつ割っていく(約分する)こともできます。
$$\frac{9x}{3} – \frac{12}{3} = 3x – 4$$
どちらの方法でも解けるようにしておくと、計算がもっと得意になりますよ。