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1-2-5.文字式の活用

これまでに学んできた文字式のルールは、実はすべて「現実世界の問題」を解決するための強力な道具です。「文字式の活用」とは、文章で書かれた問題や身の回りの現象を、数学の言葉(文字式)に翻訳して、答えを導き出すトレーニングです。

文章問題を解く手順は、基本的にいつも同じです。この流れをマスターしましょう。

【文章問題を解くための3ステップ】
手順①:問題文の中の、数量の関係を読み取る。
手順②:何を文字で表すか決めて、ルールに従って式を立てる。
手順③:立てた式を計算したり、その意味を説明したりする。

例題1:代金の問題

問題

1個120円のりんごをx個、1個70円のみかんをy個買ったときの合計の代金を、文字式で表しなさい。

手順① 関係の読み取り:合計の代金は「(りんごの代金) + (みかんの代金)」で求められます。

手順② 式を立てる

  • りんごの代金:(1個の値段) × (個数) =

    $$120 \times x = 120x$$

    (円)

  • みかんの代金:(1個の値段) × (個数) =

    $$70 \times y = 70y$$

    (円)

これらを足し合わせます。

$$120x + 70y \quad (円)$$

120x70yは同類項ではないので、これ以上まとめることはできません。これが答えです。

例題2:速さ・時間・道のりの問題

問題

a kmの道のりを、時速4kmで歩いたときにかかる時間を、文字式で表しなさい。

手順① 関係の読み取り:小学校で習った「み・は・じ」の関係を思い出しましょう。「時間 = 道のり ÷ 速さ」です。

手順② 式を立てる

  • 道のり: a (km)
  • 速さ: 4 (km/時)

公式に当てはめると、

$$a \div 4$$

となります。文字式のルールに従って、割り算は分数の形で書きます。

$$\frac{a}{4} \quad (時間)$$

単位を忘れずにつけるようにしましょう。

例題3:整数の性質

問題

偶数と奇数を、それぞれ文字nを使って表しなさい。(ただしnは整数とする)

手順① 関係の読み取り

  • 偶数とは「2で割り切れる数」、つまり「2の倍数」のことです。
  • 奇数とは「2で割ると1余る数」、つまり「偶数より1大きい(または小さい)数」のことです。

手順② 式を立てる

ある整数nを2倍すれば、必ず2の倍数(偶数)になります。

偶数: $$2n$$

奇数はその偶数より1大きい数と考えられます。

奇数: $$2n+1$$

このように文字式を使うと、具体的な数字ではなく「偶数という性質そのもの」を表すことができ、様々な証明問題などで活躍します。


理解度チェック

この小単元の内容が理解できたか、テストで確認しましょう。

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