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1-3-3.移項の仕組み

前回、方程式を解くために「等式の性質」を使って、両辺に同じ数を足したり引いたりしましたね。実は、その操作を一瞬で終わらせる便利な裏技があります。それが「移項(いこう)」です。

「項を移す」と書く通り、項をイコール(=)の反対側へ引っ越しさせる操作です。

【移項のルール】
項は、符号を反対(プラス ↔ マイナス)にすれば、イコールの反対側に移動(お引っ越し)できる!

移項は魔法じゃない!その正体とは?

「符号を変えるだけで反対側に移動できるなんて、なんだかズルい!」と思うかもしれません。しかし、移項は魔法ではなく、前回学んだ「等式の性質」をショートカットしているだけなのです。

方程式

$$x + 5 = 12$$

を例に、2つの方法を比べてみましょう。

方法1:等式の性質を使う(丁寧な方法)

左辺の+5を消すために、両辺から5を引く

\(x + 5 – 5 = 12 – 5\)
\(x = 12 – 5\)

方法2:移項を使う(ショートカット)

左辺の+5を、符号を-5に変えて右辺に引っ越しさせる。

\(x = 12 – 5\)

見ての通り、途中の計算が一行減りますが、最終的な式の形は全く同じになりますね。移項とは、この「両辺に足したり引いたりする操作」を頭の中で済ませて、一気に結果だけを書く便利なテクニックなのです。

移項を使って式を整理しよう

移項の目的は、「文字の項を左辺に、数字の項を右辺に集めて、式を整理すること」です。

例題

方程式 \(6x – 7 = 2x + 9\) を移項を使って整理しなさい。

手順①:文字の項(xがつく項)を左辺に集める
右辺にある2xを、符号を-2xに変えて左辺に移項します。

\(6x – 2x – 7 = 9\)

手順②:数字の項を右辺に集める
左辺にある-7を、符号を+7に変えて右辺に移項します。

\(6x – 2x = 9 + 7\)

手順③:両辺の同類項をそれぞれまとめる

$$4x = 16$$

これで、前回学んだ「両辺を4で割る」だけで解けるシンプルな形になりました!移項は、複雑な方程式を解くための最初の、そして最も重要なステップです。


理解度チェック

この小単元の内容が理解できたか、テストで確認しましょう。

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