方程式の中には、
$$0.5x$$
や
$$\frac{1}{2}x$$
のように、係数が小数や分数になっているものがあります。そのまま計算するとミスをしやすいため、計算を始める前に、式全体を整数だけのシンプルな形に変身させるのが鉄則です。
この変身に使う魔法も、やはり「等式の性質」です。「両辺に同じ数を掛けても良い」というルールが、ここで大活躍します。
小数がふくまれる方程式
係数に小数があった場合は、両辺に10や100、1000などを掛けて、小数点を消してしまいましょう。
全ての項が整数になるように、両辺に10や100を掛ける!
例題
方程式
$$0.3x – 1.2 = 0.1x$$
を解きなさい。
この式は小数第1位までなので、両辺を10倍すれば全ての項が整数になります。全ての項に掛けるのを忘れないように注意してください。
$$(0.3x – 1.2) \times 10 = (0.1x) \times 10$$
$$3x – 12 = x$$
見慣れた形になりましたね。あとは移項を使って解くだけです。
$$3x – x = 12$$
$$2x = 12$$
$$x = 6$$
分数がふくまれる方程式
係数に分数があった場合は、全ての分母の最小公倍数(さいしょうこうばいすう)を両辺に掛けて、分母を消して(払って)しまいましょう。
両辺に「全部分母の最小公倍数」を掛けて、分母をはらう!
例題
方程式
$$\frac{1}{2}x + 1 = \frac{1}{3}x$$
を解きなさい。
分母は2
と3
なので、最小公倍数は6
です。全ての項に6を掛けます。+1
のような整数項にも掛け忘れないように、特に注意が必要です。
$$( \frac{1}{2}x + 1 ) \times 6 = ( \frac{1}{3}x ) \times 6$$
$$\frac{1}{2}x \times 6 + 1 \times 6 = \frac{1}{3}x \times 6$$
$$3x + 6 = 2x$$
分母が消えてスッキリしました。あとは移項して解きます。
$$3x – 2x = -6$$
$$x = -6$$
小数や分数が出てきたら、慌てず、まず最初に全ての項を整数にする!この一手間が、計算ミスをなくす一番の近道です。