関数の中でも、最も基本的で重要な関係が「比例(ひれい)」です。比例は、私たちの生活のいたるところに隠れています。例えば、買い物の代金や、同じ速さで進むときの時間と道のりの関係などです。
比例とは、一言でいうと「片方が2倍、3倍になると、もう片方も2倍、3倍になる」という、とても素直な関係のことです。
比例の定義
ともなって変わる2つの変数\(x\)と\(y\)があり、\(x\)と\(y\)の間に
$$y = ax$$
という関係が成り立つとき、「\(y\)は\(x\)に比例する」と言います。
この式に出てくるa
は、「比例定数(ひれいていすう)」と呼ばれる、決まった数(定数)です。この比例定数a
こそが、その比例関係の性格を決める、とても重要なカギになります。
比例の性質を調べてみよう
具体的な例として、時速5kmで歩くときの時間と道のりの関係を見てみましょう。歩く時間を\(x\)時間、進む道のりを\(y\)kmとすると、関係式は次のようになります。
$$y = 5x$$
この式の比例定数は 5 ですね。では、\(x\)の値が変化すると\(y\)の値がどう変わるか、表にしてみましょう。
\(x\) (時間) | … | 1 | 2 | 3 | 4 | … |
---|---|---|---|---|---|---|
\(y\) (道のり) | … | 5 | 10 | 15 | 20 | … |
この表から、比例の2つの重要な性質が見えてきます。
① \(x\)の値が2倍、3倍、…になると、\(y\)の値も2倍、3倍、…になる。
② 対応する\(x\)と\(y\)の商(\(y \div x\))の値は、常に一定で比例定数
a
に等しい。
実際に表で確認してみましょう。
性質②より、どの縦のペアを見ても \(y \div x\) を計算すると、\(5 \div 1 = 5\)、\(10 \div 2 = 5\)、\(15 \div 3 = 5\) のように、必ず比例定数の5になっていますね。
この性質を使えば、「これは比例の関係かな?」と思ったときに、本当に比例かどうかを確かめることができます。