関数の世界には、比例とは正反対の性格を持つ、もう一人の主役がいます。それが「反比例(はんぴれい)」です。
比例が「片方が2倍、3倍になると、もう片方も2倍、3倍になる」という素直な関係だったのに対し、反比例は「片方が2倍、3倍になると、もう片方は1/2倍、1/3倍になる」という、まるでシーソーのような関係です。
反比例の定義
ともなって変わる2つの変数\(x\)と\(y\)があり、\(x\)と\(y\)の間に
$$y = \frac{a}{x}$$
という関係が成り立つとき、「\(y\)は\(x\)に反比例する」と言います。
この式に出てくるa
は、比例のときと同じく「比例定数(ひれいていすう)」です。反比例では、この比例定数a
は「常に一定になる積」という重要な意味を持っています。
反比例の最も大事な性質
反比例の式 \(y = \frac{a}{x}\) の両辺に\(x\)を掛けると、次の形に変形できます。
反比例の関係では、対応する\(x\)と\(y\)の積(\(xy\))は、常に一定で比例定数
a
に等しい。
$$xy = a$$
この「掛けると常に同じ数になる」というのが、反比例を見抜くための最大のポイントです。
反比例の性質を調べてみよう
具体的な例として、「面積が12cm²の長方形」を考えてみましょう。縦の長さを\(x\)cm、横の長さを\(y\)cmとすると、その関係は「縦 × 横 = 面積」なので、次の式が成り立ちます。
$$xy = 12$$
これはまさに反比例の関係ですね。比例定数は12です。\(x\)と\(y\)がどう変化するか、表で見てみましょう。
\(x\) (縦の長さ) | … | 1 | 2 | 3 | 4 | … |
---|---|---|---|---|---|---|
\(y\) (横の長さ) | … | 12 | 6 | 4 | 3 | … |
この表を見ると、\(x\)が1から2へと2倍になると、\(y\)は12から6へと1/2倍になっていることが分かります。そして、どの縦のペアを掛けても、\(1 \times 12 = 12\)、\(2 \times 6 = 12\)、\(3 \times 4 = 12\) のように、積は必ず比例定数の12になっていますね。