図形の移動とは、図形の形や大きさを一切変えずに、場所だけを動かすことです。ここでは、中学校で学ぶ3つの基本的な移動方法のうち、特に重要な「平行移動」と「回転移動」について詳しく見ていきましょう。
平行移動(へいこういどう)
平行移動は、最もシンプルな移動方法です。机の上にある消しゴムを、向きを変えずにスーッと滑らせるようなイメージです。
平行移動とは?
図形を、決まった方向に、決まった長さだけ、そのまま滑らせるように移動させること。
平行移動の性質
- 図形の向きは変わらない。
- 図形上のすべての点は、同じ方向に同じ長さだけ動く。
下の図で△ABCを平行移動して△A’B’C’を作ったとき、線分AA’、BB’、CC’はすべて平行(//
)で、長さも等しくなります。
回転移動(かいてんいどう)
回転移動は、ある点を中心にして、図形をクルッと回す移動です。時計の針や、遊園地の観覧車のような動きをイメージしてください。
回転移動とは?
図形を、ある1つの点(回転の中心)を中心に、決まった角度だけ回転させる移動のこと。
回転移動の性質
- 回転の中心からの距離は、対応するどの点でも等しい。(例:OA = OA’)
- 回転の中心と対応する点を結んでできる角の大きさは、すべて回転した角度に等しい。(例:∠AOA’ = ∠BOB’)
例えば、「点Oを中心に90°回転移動する」や「点Oを中心に180°回転移動する」のように使います。180°の回転移動は、その図形を「点対称移動」させたことと同じになります。
対称移動(たいしょういどう)
もう一つの重要な移動が対称移動です。これは、鏡に映したように図形を裏返す移動で、「線対称」の考え方がもとになっています。
対称移動とは?
図形を、1本の直線(対称の軸)を折り目として、折り返す移動のこと。
対称移動の性質
- 対応する2つの点を結ぶ線分(例えばAA’)は、対称の軸によって垂直に二等分される。
- つまり、線分AA’と対称の軸は垂直(⊥)に交わり、軸から点Aまでの距離と、軸から点A’までの距離は等しくなる。
これら3つの移動「平行移動」「回転移動」「対称移動」は、図形の合同などを考える上で非常に大切な基礎となります。