円の学習の最後は、ピザやケーキを切り分けたときに出てくる、おなじみの形「おうぎ形(扇形)」です。おうぎ形は、円の一部なので、その性質はすべて元の円と深く関係しています。
おうぎ形とは?
2本の半径と、その間にある弧とで囲まれた図形のこと。2本の半径が作る角を「中心角(ちゅうしんかく)」と呼びます。
計算の基本は「円全体に対する割合」
おうぎ形の弧の長さや面積を求める計算は、一見複雑に見えますが、考え方はとてもシンプルです。それは、「おうぎ形は、円全体をどれくらいの割合で切り取ったものか?」という視点です。
その割合は、中心角の大きさだけで決まります。円全体の中心角は360°なので、割合は次のようになります。
$$割合 = \frac{中心角}{360°}$$
例えば、中心角が90°のおうぎ形は、円全体の
$$\frac{90}{360} = \frac{1}{4}$$
の大きさだということです。
弧の長さと面積の求め方
上記の「割合」の考え方を使えば、弧の長さも面積も簡単に求めることができます。
公式(半径r, 中心角x°)
- 弧の長さ (l) = (円周) × (割合)
$$l = 2 \pi r \times \frac{x}{360}$$
- 面積 (S) = (円の面積) × (割合)
$$S = \pi r^2 \times \frac{x}{360}$$
例題
半径が6cm、中心角が120°のおうぎ形について、弧の長さと面積を求めなさい。
【弧の長さ】
このおうぎ形は、円全体の \(\frac{120}{360} = \frac{1}{3}\)の大きさです。
$$l = (2 \pi \times 6) \times \frac{120}{360} = 12\pi \times \frac{1}{3} = 4\pi \quad (cm)$$
【面積】
$$S = (\pi \times 6^2) \times \frac{120}{360} = 36\pi \times \frac{1}{3} = 12\pi \quad (cm^2)$$
便利な裏ワザ公式
中心角が分からないときでも、半径と弧の長さが分かっていれば面積を求めることができる、とても便利な公式があります。
面積を求める別公式
半径をr
、弧の長さをl
とすると、
$$S = \frac{1}{2}lr$$
三角形の面積(底辺×高さ÷2)の公式と形が似ているので、覚えやすいですね。先ほどの例題で試すと、
$$S = \frac{1}{2} \times 4\pi \times 6 = 12\pi$$
となり、見事に同じ答えになります!