これまでに学んだ「度数分布表」や「代表値」は、実際の実験や調査で得られたデータを分析するための強力な武器です。ここでは、具体的な実験データを例にして、資料を整理し、その特徴を読み解くプロセスを体験してみましょう。
【実験】反応速度を調査しよう!
あるクラスで、落とされる30cm定規を何cmで掴めるか、という反応速度の実験を行いました。記録が短いほど、反応が速いということになります。以下が、生徒15人分の生の実験データです。(単位:cm)
18, 23, 15, 21, 19, 26, 17, 20, 29, 19, 24, 16, 22, 19, 22
このままでは、このクラスの反応速度が全体的にどうなのか、よく分かりませんね。早速、これらのデータを整理していきましょう。
手順①:データを度数分布表に整理する
まずは、データの散らばり具合を見るために、度数分布表を作成します。今回は階級の幅を4cmにしてみましょう。
階級 (cm) | 度数 (人) |
---|---|
14以上 〜 18未満 | 3 |
18 〜 22 | 7 |
22 〜 26 | 4 |
26 〜 30 | 1 |
合計 | 15 |
この表から、「18cm以上22cm未満」の階級に7人と、最も多くの生徒が集まっていることが一目で分かります。
手順②:代表値を計算して特徴をつかむ
次に、この集団の「標準」を知るために、代表値を計算します。そのためには、まず生のデータを小さい順に並べ替えると便利です。
15, 16, 17, 18, 19, 19, 19, 20, 21, 22, 22, 23, 24, 26, 29
このデータの代表値
【平均値】
すべてのデータを合計して15で割ります。
$$合計 300 \div 15人 = 20$$
平均値は 20cm です。
【中央値(メジアン)】
データは15個(奇数)なので、真ん中(8番目)の値を探します。
中央値は 20cm です。
【最頻値(モード)】
データの中で最も多く出てくる値を探します。
19
が3回で最も多いので、最頻値は 19cm です。
手順③:データから結論を導き出す(考察)
このクラスの反応速度の記録は、平均値が20cm、中央値が20cm、最頻値が19cmと、代表値が20cm前後に集まっていることが分かりました。また、度数分布表からも18cmから22cmの間に最も多くの生徒がいることが確認できました。
これらのことから、「このクラスの生徒の反応速度は、およそ20cmあたりが標準的である」と結論づけることができます。
このように、生のデータを整理し、分析することで、単なる数字の羅列から意味のある「情報」を引き出すことができます。これが、資料の活用の面白さであり、とても大切な目的なのです。