ここから、連立方程式を解くための具体的な計算テクニックを学んでいきます。その一つ目が「代入法(だいにゅうほう)」です。
その名の通り、一方の式をもう一方の式に「代入」することで、文字を1種類に減らし、1年生で学んだ一次方程式の形に持ち込むのが目的です。
代入法の解き方
代入法は、特に \(\begin{cases} y = 2x \\ x+y=9 \end{cases}\) のように、どちらかの式が「\(x=\) …」や「\(y=\) …」の形になっているときに非常に有効です。
代入法の基本ステップ
- どちらかの式を「\(x=\) …」または「\(y=\) …」の形に変形する。(すでになっている場合は不要)
- その式を、もう一方の式に代入して、文字を1つ消去する。
- できた一次方程式を解き、まず1つの文字の値を求める。
- 求まった値をどちらかの式に代入し、残りの文字の値を求める。
例題で手順を確認しよう
例題
次の連立方程式を、代入法で解きなさい。
$$\begin{cases} y = x + 2 & \cdots ① \\ 3x + y = 14 & \cdots ② \end{cases}$$
手順①:式の形を確認する
①の式が、すでに「\(y=\) …」の形になっています。
手順②:もう一方の式に代入する
①の式(\(y\)の正体は\(x+2\)である)を、②の式の\(y\)の部分に代入します。このとき、カッコをつけて代入するのがミスを防ぐコツです。
$$3x + (x + 2) = 14$$
手順③:一次方程式を解く
これで、\(x\)だけの一次方程式ができました。これを解きます。
$$3x + x + 2 = 14$$
$$4x = 12$$
$$x = 3$$
手順④:残りの文字の値を求める
求まった \(x=3\) を、①の式 \(y=x+2\) に代入するのが一番簡単です。
$$y = 3 + 2 = 5$$
【結論】
これで解のペアが求まりました。
$$答え:x=3, y=5$$
このように、代入法は一方の文字を消去して、解き慣れた一次方程式に持ち込む方法です。特に、係数が1の文字(ただの\(x\)や\(y\))がある場合に使いやすい解法です。