連立方程式を解く、もう一つの強力なテクニックが「加減法(かげんほう)」です。「式を足したり(加法)引いたり(減法)して解く」ことから、この名前がついています。
加減法の目的は、2つの式をうまく足し引きすることで、どちらか一つの文字を消去(しょうきょ)し、文字が1種類だけの一次方程式を作ることです。
加減法の基本方針
加減法のゴール
\(x\)か\(y\)のどちらかの係数の絶対値をそろえ、2つの式を足したり引いたりして、その文字を消去する!
- 係数の符号が違う(例:\(+2y\) と \(-2y\)) → 2つの式を足す(+)
- 係数の符号が同じ(例:\(+3x\) と \(+3x\)) → 2つの式を引く(-)
例題で手順を確認しよう
例題1:係数がそろっている場合
次の連立方程式を、加減法で解きなさい。
$$\begin{cases} 3x + 2y = 16 & \cdots ① \\ 5x – 2y = 16 & \cdots ② \end{cases}$$
手順①:係数を確認する
\(y\)の係数が「+2」と「-2」で、絶対値が同じで符号が違います。この場合は、2つの式をそのまま足し算すれば、\(y\)の項が消去できます。
手順②:2つの式を筆算で足す
$$ \begin{array}{rr} & 3x + 2y = 16 \\ +) & 5x – 2y = 16 \\ \hline & 8x \qquad = 32 \end{array} $$
手順③:一次方程式を解く
\(8x=32\) なので、\(x=4\) となります。
手順④:残りの文字の値を求める
求まった \(x=4\) を、①の式に代入します。
\(3 \times (4) + 2y = 16 \rightarrow 12 + 2y = 16 \rightarrow 2y = 4 \rightarrow y=2\)
$$答え:x=4, y=2$$
例題2:係数がそろっていない場合
次の連立方程式を、加減法で解きなさい。
$$\begin{cases} 2x + 3y = 7 & \cdots ① \\ 3x – 5y = 1 & \cdots ② \end{cases}$$
手順①:そろえる文字を決めて、係数をそろえる
このままでは足したり引いたりしても文字は消えません。今回は\(x\)の係数をそろえてみましょう。2と3の最小公倍数は6なので、①の式全体を3倍、②の式全体を2倍します。
$$① \times 3 \rightarrow 6x + 9y = 21 \cdots ①’$$
$$② \times 2 \rightarrow 6x – 10y = 2 \cdots ②’$$
手順②:2つの式を引く
\(x\)の係数が「+6」で同じ符号になったので、①’ から ②’ を引き算します。引き算は符号ミスに注意!
$$ \begin{array}{rr} & 6x + 9y = 21 \\ -) & 6x – 10y = 2 \\ \hline & \qquad 19y = 19 \end{array} $$
手順③:一次方程式を解く
\(19y=19\) なので、\(y=1\) となります。
手順④:残りの文字の値を求める
求まった \(y=1\) を、もとの①の式に代入します。
\(2x + 3 \times (1) = 7 \rightarrow 2x + 3 = 7 \rightarrow 2x = 4 \rightarrow x=2\)
$$答え:x=2, y=1$$