一次関数の式 \(y=ax+b\) には、グラフの形を決定づける2つの重要なパーツ、\(a\)と\(b\)が含まれています。\(a\)は「傾き」、\(b\)は「切片」と呼ばれます。この2つの意味を深く理解することが、一次関数をマスターするための鍵です。
切片とは?(スタート地点)
まずは、分かりやすい「切片」から見ていきましょう。
切片(せっぺん)
一次関数のグラフ(直線)が、y軸と交わる点のy座標のこと。式の \(y=ax+b\) の、\(b\)の部分にあたります。
切片は、グラフがy軸のどこを通過するか、つまり「グラフのスタート地点」と考えると非常に分かりやすいです。\(x=0\)のときの\(y\)の値でもあります。
傾きとは?(変化の仕方)
「傾き」は、その名の通り「グラフの傾き具合」を表しますが、数学的にはもう少し正確な意味があります。傾きは「変化の割合(へんかのわりあい)」とも呼ばれます。
傾き(かたむき)/ 変化の割合
\(x\)が1増加したときに、\(y\)がどれだけ増加(または減少)するかを表す値のこと。式の \(y=ax+b\) の、\(a\)の部分にあたります。
傾きは、次の式で計算することができます。
傾きの公式
$$傾き (a) = \frac{yの増加量}{xの増加量}$$
例題:傾きの意味
一次関数 \(y=2x+3\) について考えてみましょう。
\(x\) | … | 0 | 1 | 2 | 3 | … |
---|---|---|---|---|---|---|
\(y\) | … | 3 | 5 | 7 | 9 | … |
表を見ると、\(x\)が1ずつ増加するたびに、\(y\)が必ず2ずつ増加しているのが分かります。この「+2」こそが、この関数の傾きです。
傾きの符号や大きさによって、グラフの見た目は次のように変わります。
- \(a > 0\)(傾きが正):グラフは右上がりになる。
- \(a < 0\)(傾きが負):グラフは右下がりになる。
- \(a\)の絶対値が大きいほど:グラフの傾きが急になる。
- \(a\)の絶対値が小さいほど:グラフの傾きがゆるやかになる。
つまり、切片\(b\)がスタート地点を、傾き\(a\)がそこからの進み方を、それぞれ示しているのです。