「連立方程式」と「一次関数」。これまで別々の単元として学んできましたが、実はこの2つには非常に深く、そして面白い関係があります。連立方程式の「解」は、グラフにすることで、ある特別な点として目で見て見つけ出すことができるのです。
2つの式、2本の直線
連立方程式は、2つの一次方程式のペアでできていましたね。
$$\begin{cases} x + y = 3 & \cdots ① \\ 2x – y = 3 & \cdots ② \end{cases}$$
ここで、①と②の式を、それぞれ一次関数の基本形 \(y=ax+b\) に変形してみましょう。
- ①の式: \(y = -x + 3\)
- ②の式: \(y = 2x – 3\)
この2つの式は、それぞれが「傾き」と「切片」を持つ一次関数なので、座標平面上に2本の異なる直線としてグラフを描くことができます。
グラフの交点が、連立方程式の解
では、この2本の直線の「交点」の座標はどういう意味を持つのでしょうか?
グラフの交点とは?
グラフ上の点は、そのグラフの式を成り立たせる\(x\)と\(y\)の座標の集まりです。
ということは、2本の直線の交点は、両方の直線の式を同時に成り立たせる、唯一の\(x\)と\(y\)の座標のペアということになります。
「両方の式を同時に成り立たせる\(x\)と\(y\)のペア」…どこかで聞いた覚えはありませんか?
そうです、これこそが「連立方程式の解」の定義そのものですね!
連立方程式とグラフの最も重要な関係
連立方程式の解は、2つの方程式をそれぞれグラフにしたときの、2直線の交点の座標と等しくなる。
例題:グラフを使って解を求める
連立方程式 \(\begin{cases} y = -x + 3 \\ y = 2x – 3 \end{cases}\) の解を、グラフの交点から読み取りなさい。
【手順】
それぞれの式のグラフを描くと、上の図のようになります。2本の直線の交点を探すと、その座標は (2, 1) であることが分かります。
【結論】
したがって、この連立方程式の解は、
$$x=2, y=1$$
となります。
【検算】
実際に代入法で解いてみても、\(-x+3 = 2x-3 \rightarrow -3x=-6 \rightarrow x=2\)。
\(y = -2+3 = 1\) となり、グラフから読み取った解と一致しますね。