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2-4-2.コラム:0で割ってはいけない理由。

小学校の頃から、算数や数学の世界で「0で割ってはいけない」と、まるで魔法の呪文のように教わってきたと思います。しかし、その理由をじっくり考えたことはありますか?

このコラムでは、その謎を「計算ルール」と「グラフ」の2つの側面から探ってみましょう。

理由①:計算ルールが成り立たないから

まず、割り算を「掛け算の逆算」として考えてみます。「\(6 \div 2 = 3\)」が成り立つのは、「\(2 \times 3 = 6\)」が成り立つからです。

ケース1:「6 ÷ 0」を考えてみる

もし「\(6 \div 0 = x\)」が成り立つとすると、逆算すると「\(0 \times x = 6\)」となります。しかし、0に何を掛けても答えは0になるはずなので、6になることはありえません。これは矛盾です。

ケース2:「0 ÷ 0」を考えてみる

もし「\(0 \div 0 = y\)」が成り立つとすると、逆算すると「\(0 \times y = 0\)」となります。この式は、\(y\)がどんな数でも成り立ってしまい、答えが一つに定まりません。これは不定と呼ばれます。

理由②:グラフ上に点が存在しないから

「0で割る」という操作は、私たちが最近学んだ「反比例」のグラフを見ると、視覚的に理解することができます。

反比例のグラフで考えてみよう

反比例の式は \(y = \frac{a}{x}\) でしたね。例えば、\(y = \frac{6}{x}\) というグラフを考えてみましょう。

このグラフ(双曲線)をよく見てください。グラフの線は、y軸(\(x=0\)の線)に限りなく近づいていきますが、決してy軸と交わることはありません

もし「\(6 \div 0\)」の計算ができ、その答えが存在するとしたら、それはグラフ上の \(x=0\) の点に対応するはずです。しかし、グラフが示している通り、\(x=0\) の点はこの世に存在しないのです。

結論

「0で割ってはいけない」理由は、

  • 計算上:答えが存在しないか、一つに定まらないという矛盾が起きるから。
  • グラフ上:反比例のグラフがy軸(\(x=0\)の線)と決して交わらないように、対応する点が存在しないから。

このように、数学の世界のルールとグラフの見た目は、きちんとつながっているのです。


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