形も大きさも全く同じで、ぴったり重ね合わせることができる2つの図形があるとき、それらの図形は「合同(ごうどう)」であると言います。まるで、1枚の折り紙から切り出した、2枚の同じ形のようです。
この単元では、特に「三角形の合同」に注目します。合同の考え方は、図形が等しいことを証明するための、最も基本的な道具となります。
合同な図形とその記号
合同な図形とは?
一方の図形を、移動(平行移動・回転移動・対称移動)させることで、もう一方の図形にぴったりと重ね合わせることができる2つの図形のこと。
2つの図形が合同であることを示すとき、数学では≡
という特別な記号を使います。
合同の記号
例えば、△ABCと△DEFが合同であるとき、次のように書きます。
$$△ABC ≡ △DEF$$
これは「さんかくけいエービーシー ごうどう さんかくけいディーイーエフ」と読みます。
合同の一番大事なルール:対応する点の順番
合同を記号で表すときには、絶対に守らなければならない、とても重要なルールがあります。
対応のルール
合同を記号(≡)で書くときは、必ず、ぴったり重なり合う頂点どうしを、同じ順番で書かなければならない!
この順番を守るだけで、合同な図形の「どの部分」と「どの部分」が等しいのか、すべて分かるようになっています。
例題
「\(△ABC ≡ △DEF\)」と書かれていた場合、この一つの式から分かることをすべて挙げなさい。
【解説】
書かれている順番に注目します。「A→B→C」の順番は「D→E→F」の順番に対応しています。
- 1番目のAはDに、2番目のBはEに、3番目のCはFに、それぞれ対応します。
この対応関係から、次の6つの情報が自動的に分かります。
対応する辺は等しい
$$AB = DE, \quad BC = EF, \quad CA = FD$$
対応する角は等しい
$$∠A = ∠D, \quad ∠B = ∠E, \quad ∠C = ∠F$$
このように、合同の記号の順番は、辺の長さや角の大きさが等しいことを示すための設計図なのです。次回は、2つの三角形が合同であることを見抜くための「合同条件」を学びます。