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2-5-5.平行四辺形、二等辺三角形の性質と証明

「三角形の合同条件」という最強の武器を手に入れた今、私たちは身の回りにある様々な図形の「なぜ、そうなるの?」という秘密を解き明かすことができます。この作業を数学の世界では「証明(しょうめい)」と呼びます。

今回は、最も基本的な図形である「二等辺三角形」と「平行四辺形」を例に、その性質が本当に正しいことを、合同を使って証明してみましょう。

二等辺三角形の性質と証明

定義と性質

  • 定義2組の辺が等しい三角形。(例:AB = AC)
  • 性質:① 2つの底角(ていかく)は等しい。(例:∠B = ∠C)
    頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分する

例題:「二等辺三角形の2つの底角は等しい」ことの証明

【証明のすじみち】
角を分割する補助線を1本引いて2つの三角形を作り、それらが合同であることを示せば、対応する角が等しいと言えますね。


【証明】
△ABCにおいて、頂角∠Aの二等分線をひき、底辺BCとの交点をDとする。
△ABDと△ACDにおいて、

仮定(もともと二等辺三角形であること)から、
AB = AC ・・・ ①

∠Aの二等分線をひいたことから、
∠BAD = ∠CAD ・・・ ②

ADは2つの三角形に共通な辺なので、
AD = AD ・・・ ③

①, ②, ③より、「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」ので、
△ABD ≡ △ACD

合同な図形では、対応する角は等しいので、
∠B = ∠C (証明おわり)

平行四辺形の性質と証明

定義と性質

  • 定義2組の向かいあう辺が、それぞれ平行な四角形。(AB // DC, AD // BC)
  • 性質:① 2組の向かいあう辺は、それぞれ等しい
    2組の向かいあう角は、それぞれ等しい
    対角線は、それぞれの中点で交わる

例題:「平行四辺形の2組の向かいあう辺は、それぞれ等しい」ことの証明

【証明のすじみち】
対角線を1本引いて2つの三角形を作り、それらが合同であることを示せば、対応する辺が等しいと言えます。


【証明】
平行四辺形ABCDにおいて、対角線ACをひく。
△ABCと△CDAにおいて、

平行線の錯角は等しいので、AB // DCより、
∠BAC = ∠DCA ・・・ ①

同様に、AD // BCより、
∠BCA = ∠DAC ・・・ ②

ACは共通な辺なので、
AC = CA ・・・ ③

①, ②, ③より、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」ので、
△ABC ≡ △CDA

合同な図形では、対応する辺は等しいので、
AB = CD, BC = DA (証明おわり)


理解度チェック

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