「証明」と聞くと、なんだか難しくて特別なことのように感じるかもしれません。しかし、図形の証明とは、「正しい根拠を積み重ねて、結論までのすじ道を論理的に説明する作業」であり、実は決まった「型」にはめて書くパズルのようなものです。
この単元では、その「証明の書き方の型」をマスターします。この型さえ身につければ、どんな証明問題にも自信を持って取り組むことができます。
証明問題のレシピ
三角形の合同を使った証明は、基本的に次のパーツを順番に並べていくことで完成します。
証明の基本構造(レシピ)
- どの三角形に注目するか宣言する
△〇〇と△△△において、
- 等しい辺や角を、根拠と共に3つ見つけ出す
(根拠)より、〇〇 = △△ ・・・ ①
(根拠)より、〇〇 = △△ ・・・ ②
(根拠)より、〇〇 = △△ ・・・ ③
- 使った合同条件を宣言する
①,②,③より、(3つの合同条件のうちのどれか)ので、
- 三角形の合同を宣言する
△〇〇 ≡ △△△
- 結論を述べる
合同な図形の対応する〇〇は等しいので、□□ = ☆☆
例題で証明を組み立ててみよう
例題
下の図で、点Mが線分ABと線分CDの中点であるとき、AC = DB となることを証明しなさい。
【証明のすじみち(頭の中の作戦会議)】
結論(ゴール)は「AC = DB」を示すこと。そのためには、「△AMCと△BMDが合同であること(\(△AMC ≡ △BMD\))」を言えれば良さそうだな。
証拠集め:合同を言うには証拠が3つ必要だ。
- 「MがABの中点」→ これは「AM = BM」が使えるぞ。(証拠1)
- 「MがCDの中点」→ これは「CM = DM」が使えるぞ。(証拠2)
- あと1つは…? 図をよく見ると、∠AMCと∠BMDは「対頂角」だ! 対頂角は必ず等しい。(証拠3)
よし、「辺・角・辺」の順番で証拠が3つ集まった。「2組の辺とその間の角」の合同条件が使えそうだ!作戦が決まったら、レシピに沿って書いていこう。
【解答】
△AMCと△BMDにおいて、
仮定(問題文の条件)より、
AM = BM ・・・ ①
CM = DM ・・・ ②
対頂角は等しいので、
∠AMC = ∠BMD ・・・ ③
①, ②, ③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
△AMC ≡ △BMD
合同な図形の対応する辺は等しいので、
AC = DB