「展開」の学習、お疲れ様でした。次はその全く逆の操作、「因数分解(いんすうぶんかい)」に挑戦します。因数分解とは、足し算や引き算の形で書かれた整式を、カッコなどを使った掛け算の形に直すことです。
素数を学ぶとき、「12」を「\(2^2 \times 3\)」のように素数の積に直す「素因数分解」をしましたね。それの式バージョンだと考えてください。因数分解は、これから学ぶ二次方程式を解くためにも必須のスキルです。
手順①:共通因数でくくる
因数分解を始めるときに、まず最初に、そして必ずチェックしなければならないのが、式全体に共通するパーツ「共通因数」があるかどうかです。
共通因数でくくる
式のすべての項に共通して含まれる因数(数字や文字)を見つけ出し、それをカッコの外に出して、残りをカッコの中にまとめる。
$$Ma + Mb = M(a+b)$$
例題
\(6x^2 + 9x\) を因数分解しなさい。
【考え方】
① 数字:6と9の最大公約数は「3」です。
② 文字:\(x^2\)と\(x\)に共通して含まれるのは「\(x\)」です。
したがって、共通因数は「\(3x\)」だと分かります。
【計算】
共通因数 \(3x\) をカッコの外に出し、元の各項を \(3x\) で割ったものをカッコの中に書きます。
$$6x^2 + 9x = 3x(2x + 3)$$
手順②:乗法公式を逆向きに使う
共通因数がない(または、くくり出した後の)式は、前回学んだ乗法公式を逆再生するようにして因数分解します。
公式①の逆:\(a^2 + 2ab + b^2 = (a+b)^2\)
【見つけ方】 式が「(何かの2乗) + (ごにょごにょ) + (別の何かの2乗)」の形になっているか?
例題:\(x^2 + 10x + 25\) を因数分解しなさい。
\(x^2\)は\(x\)の2乗、\(25\)は\(5\)の2乗ですね。そして、真ん中の\(10x\)が \(2 \times x \times 5\) になっているので、公式が使えます。
$$x^2 + 10x + 25 = (x+5)^2$$
公式②の逆:\(a^2 – 2ab + b^2 = (a-b)^2\)
【見つけ方】 公式①と似ていますが、真ん中の項の符号がマイナスです。
例題:\(x^2 – 12x + 36\) を因数分解しなさい。
\(x^2\)は\(x\)の2乗、\(36\)は\(6\)の2乗。真ん中の\(-12x\)が \(-2 \times x \times 6\) なので、公式が使えます。
$$x^2 – 12x + 36 = (x-6)^2$$
公式③の逆:\(a^2 – b^2 = (a+b)(a-b)\)
【見つけ方】 式が「(何かの2乗) – (別の何かの2乗)」という、とてもシンプルな引き算の形になっているか?
例題:\(x^2 – 49\) を因数分解しなさい。
\(x^2\)は\(x\)の2乗、\(49\)は\(7\)の2乗です。
$$x^2 – 49 = (x+7)(x-7)$$