三平方の定理はどんな直角三角形にも使えますが、その中でも特によく登場する「辺の比がきれいな整数になる」特別な直角三角形が2つあります。
これらの三角形の辺の比を覚えておくと、三平方の定理をわざわざ使わなくても、一瞬で辺の長さを求めることができ、計算時間を大幅に短縮できます。三角定規のセットに入っている、あの2つの三角形です!
① 辺の比が 1 : 2 : √3 の直角三角形
これは、3つの角が 30°, 60°, 90° になる直角三角形です。正三角形を半分に切った形で、非常によく登場します。
角度と辺の比の関係
30°, 60°, 90° の角に対応する辺の比は、必ず 1 : 2 : √3 となる。
- 一番短い辺(30°の向かい):1
- 一番長い斜辺(90°の向かい):2
- 中間の辺(60°の向かい):√3
例題
下の図で、辺xの長さを求めなさい。
【考え方】
これは30°, 60°, 90°の直角三角形なので、辺の比は \(1 : 2 : \sqrt{3}\) です。
一番長い斜辺(比が2)が8cmです。
求めたい辺xは、30°の向かいなので一番短い辺(比が1)です。
比が2の辺が8cmなので、比が1の辺はその半分になります。
$$x = 8 \times \frac{1}{2} = 4$$
答え:4cm
② 辺の比が 1 : 1 : √2 の直角三角形
これは、2つの角が 45° になる、直角二等辺三角形です。正方形を対角線で半分に切った形ですね。
角度と辺の比の関係
45°, 45°, 90° の角に対応する辺の比は、必ず 1 : 1 : √2 となる。
- 等しい2辺(45°の向かい):1
- 斜辺(90°の向かい):√2
例題
下の図で、斜辺xの長さを求めなさい。
【考え方】
これは45°, 45°, 90°の直角二等辺三角形なので、辺の比は \(1 : 1 : \sqrt{2}\) です。
等しい辺(比が1)の長さが5cmです。
求めたい斜辺xは、比が\(\sqrt{2}\)なので、比が1の辺の\(\sqrt{2}\)倍になります。
$$x = 5 \times \sqrt{2} = 5\sqrt{2}$$
答え:\(5\sqrt{2}\)cm