中学数学の最後の単元へようこそ!ここでは、社会の中で実際に使われている統計的な考え方、「標本調査(ひょうほんちょうさ)」について学びます。
例えば、ある湖にいる魚の数を正確に知りたいとき、湖の水を全部抜いて一匹ずつ数えるのは現実的ではありません。標本調査は、このような全体を調査するのが難しい場合に、一部分だけを調べて全体を推測するという、非常に賢い方法です。
全数調査と標本調査
世の中の調査は、大きく分けて2つの種類があります。
全数調査(ぜんすうちょうさ)
調査の対象となる全体を、一つ残らずすべて調査する方法。
【例】学校の健康診断、国勢調査など、正確さが絶対に求められる調査。
標本調査(ひょうほんちょうさ)
調査の対象となる全体から、一部分だけを抜き出して調査し、その結果から全体の性質を推測する方法。
【例】テレビの視聴率調査、製品の品質検査など、時間や費用を節約したい調査。
標本調査の基本用語
標本調査を正しく理解するために、いくつかの重要な用語を覚えましょう。
母集団(ぼしゅうだん)
調査の対象となる全体の集団のこと。
(例:ある工場で作られたすべての電球、日本の有権者全員)
標本(ひょうほん)
調査のために母集団から抜き出された、一部分の集団のこと。
(例:検査のために抜き取った100個の電球、視聴率調査に協力してくれる世帯)
標本の大きさ
標本として抜き出したデータの個数のこと。
(例:100個の電球を抜き取ったなら、標本の大きさは100)
標本調査で最も大切なこと
無作為(むさくい)に抽出すること
標本調査で信頼できる結果を得るためには、標本が母集団の性質を正しく反映した「縮図」になっていなければなりません。そのためには、標本を作為(意図)なく、ランダムに、偏りなく抜き出す必要があります。このように標本を抜き出すことを「無作為抽出(むさくいちゅうしゅつ)」と言います。