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3-7-2.標本調査の活用(推定と誤差)

標本調査の目的は、抜き出した標本の性質を調べることで、調査が困難な母集団全体の性質を推定することです。

例えば、標本調査で「協力してくれた1000世帯のうち、150世帯が番組Aを見ていた」という結果が出たとします。この標本の視聴率15%というデータを使って、「日本全体の視聴率も、おそらく15%くらいだろう」と推測するのです。


標本調査による推定

標本調査で全体の数量を推定するには、比例式の考え方を利用します。

推定の基本となる比例式

(母集団の大きさ):(標本の大きさ) = (母集団における数量):(標本における数量)

例題

ある池にいる魚の総数を調べるため、30匹の魚を捕獲し、印をつけて池に戻しました。数日後、再び40匹の魚を捕獲したところ、その中に印のついた魚が3匹いました。この池には、およそ何匹の魚がいると推定できますか?


【考え方】
池全体の魚の総数(母集団の大きさ)を\(x\)匹とします。

  • 母集団:池の魚全体(\(x\)匹)
  • 標本:再び捕獲した魚(40匹)

「母集団全体にいる印のついた魚」は、最初に捕獲して戻した30匹です。この情報を使って、比例式を立てます。
(池全体の魚の数):(捕獲した魚の数) = (池全体にいる印付きの魚の数):(捕獲した中にいた印付きの魚の数)

$$x : 40 = 30 : 3$$

【計算】
比例式の性質「内項の積 = 外項の積」を使って解きます。

$$3x = 40 \times 30$$

$$3x = 1200$$

$$x = 400$$

答え:およそ400匹


誤差について

標本調査は、あくまで一部分を調べた結果から全体を推測する方法なので、その推定値は必ずしも真の値と一致しません。

誤差(ごさ)とは?

標本調査によって得られた推定値と、本当の値(真の値)との差のこと。

$$誤差 = 推定値 – 真の値$$

誤差を小さくするためには、標本の大きさをできるだけ大きくしたり、無作為抽出を徹底して偏りをなくすことが重要です。しかし、標本調査である限り、誤差が完全になくなることはありません。

ニュースの視聴率などで「調査方法によって、結果が異なる場合があります」と注意書きがあるのは、この誤差の存在を前提としているからなのです。


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