1. 減衰振動とは
減衰振動は、抵抗や摩擦によってエネルギーが失われながら行われる振動です。現実の世界では、完全にエネルギーが保存される振動は存在せず、必ず何らかの減衰が伴います。
シュミレーションする→1.1 減衰振動の例
- 振り子の空気抵抗による減衰
- バネの内部摩擦による減衰
- 電気回路の抵抗による減衰
- 建物の振動減衰装置
2. 減衰振動の微分方程式
質量の物体が、バネ定数のバネと減衰係数の抵抗を受けて振動する場合を考えます。
運動方程式は以下のようになります
両辺をで割ると
ここで、(減衰定数)、(固有角振動数)とおくと
3. 特性方程式と場合分け
減衰振動の解は、特性方程式の解の性質によって3つの場合に分けられます。
3.1 特性方程式
解をの形で仮定すると、特性方程式は
この2次方程式の判別式は
D = (2\gamma)^2 – 4 \cdot 1 \cdot \omega_0^2 = 4(\gamma^2 – \omega_0^2)
特性方程式を解いて得られる2つの独立な特解を線形結合することで、一般解が得られます。任意定数をA、Bとして解を表します。
4. 3つの場合分け
4.1 減衰振動()
判別式の場合です。これは減衰が小さく、振動が続く場合です。
判別式が負なので、複素解になります
\lambda = -\gamma \pm i\sqrt{\omega_0^2 – \gamma^2}
\omega_d = \sqrt{\omega_0^2 – \gamma^2}(減衰振動の角振動数)とおくと
一般解は
初期条件、から
4.2 臨界制動()
判別式の場合です。これは減衰が臨界値で、最も早く平衡位置に戻る場合です。
重根を持つので、一般解は
初期条件から
4.3 過減衰()
判別式の場合です。これは減衰が大きく、振動せずに緩やかに平衡位置に近づく場合です。
実数解\lambda = -\gamma \pm \sqrt{\gamma^2 – \omega_0^2}を持つので
ここで
\lambda_1 = -\gamma + \sqrt{\gamma^2 – \omega_0^2}, \quad \lambda_2 = -\gamma – \sqrt{\gamma^2 – \omega_0^2}
初期条件から係数を決定します。
5. 物理的意味
5.1 各場合の特徴
- 減衰振動 振動しながら振幅が指数関数的に減少
- 臨界制動 振動せずに最も速く平衡位置に到達
- 過減衰 振動せずにゆっくりと平衡位置に近づく
5.2 応用例
- 自動車のサスペンション 臨界制動に近い設計
- 地震対策 建物の減衰を調整
- 電子回路 オーバーシュートの防止
6. まとめ
減衰振動の解は、減衰定数と固有角振動数の大小関係によって3つの場合に分けられます
- 減衰振動() 振動しながら減衰
- 臨界制動() 最速で平衡位置に到達
- 過減衰() 振動せずに減衰