1. このパッケージでできるようになること

amsmathamssymb を入れると、 次のようなよく見るけど base だけでは書きにくい数式が、短い 1 個の環境で書けるようになります。

  • 複数行の計算を「=」で縦に揃える → align
  • 行列を括弧つきで書く → pmatrix / bmatrix
  • 場合分けの定義 → cases
  • 黒板太字の集合記号 (R, N, C) → mathbb
  • 数式の中にふつうの日本語を書く → text

2. 入れ方

プリアンブル (begin document より前) に 1 行入れるだけ。

\documentclass{article}
\usepackage{amsmath,amssymb}

\begin{document}
% 本文
\end{document}

※ これはプリアンブルの設定なので PDF 出力に見た目の変化はない。

数式を含む LaTeX 文書では、ほぼ毎回この 2 行を入れると思ってください。

3. align — 計算を「=」で揃える

こんなとき使う: 「二次式を展開する過程を段階的に見せる」「微分の計算を何行かに分ける」など、 複数行の式を「=」の位置で縦に揃えたいとき。

source
\begin{align}
  (x + 1)^2 &= (x + 1)(x + 1) \\
            &= x^2 + 2x + 1
\end{align}
result
(x+1)2=(x+1)(x+1)=x2+2x+1\begin{aligned}(x + 1)^2 &= (x + 1)(x + 1) \\ &= x^2 + 2x + 1\end{aligned}
  • アンパサンド (&) が揃える位置。「=」の直前に置く
  • バックスラッシュ 2 つで行を変える
  • 式番号を振りたくなければ align*
演習 #1

次の計算を align 環境で「=」で揃えて書いてみよう。

(x+1)2(x + 1)^2 を展開する過程を 2 行以上で見せてください。

解答を見る

align は「=」の位置で揃えるために & を挟みます。

\begin{align}
  (x + 1)^2 &= (x + 1)(x + 1) \\
            &= x^2 + 2x + 1
\end{align}

ポイント:

  • & は「ここで揃える」目印 (列の区切り)
  • \\ で行を変える
  • 式番号を振りたくないときは align*

4. pmatrix — 行列を書く

こんなとき使う: 線形代数で 2×2 / 3×3 の行列を本文に入れたいとき。 括弧の種類を変えるだけで、環境名を選びます。

  • pmatrix — 丸括弧
  • bmatrix — 角括弧
  • vmatrix — 絶対値 (行列式向き)
source
A = \begin{pmatrix}
  a & b \\
  c & d
\end{pmatrix}
result
A=(abcd)A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}

中身の書き方は表 (tabular) と同じ。アンパサンドで列、バックスラッシュ 2 つで行を区切る。

5. cases — 場合分けの定義

こんなとき使う: 絶対値、階段関数、区分関数など、条件で値が変わる関数を書くとき。

source
f(x) = \begin{cases}
  x  & (x \ge 0) \\
  -x & (x < 0)
\end{cases}
result
f(x)={x(x0)x(x<0)f(x) = \begin{cases} x & (x \ge 0) \\ -x & (x < 0) \end{cases}

各行でアンパサンドが「式」と「条件」の区切り。

演習 #2

絶対値 f(x)=xf(x) = |x| を、場合分けで定義する LaTeX ソースを書いてみよう。

解答を見る

cases 環境を使います。

f(x) = \begin{cases}
  x  & (x \ge 0) \\
  -x & (x < 0)
\end{cases}

ポイント:

  • 各行で & が「式」と「条件」の区切り
  • \ge = 以上、\le = 以下

6. mathbb — 集合の R・N・C

こんなとき使う: 「実数全体 R」「自然数 N」「複素数 C」のように、 論文でよく見る黒板太字の集合記号を書くとき。 これは amssymb パッケージに入っています。

source
f : \mathbb{R} \to \mathbb{R}
result
f:RRf : \mathbb{R} \to \mathbb{R}

他に、スクリプト体 mathcal (関数空間 L など)、 フラクトゥール mathfrak (リー代数 g など) があります。

7. text — 数式の中にふつうの文字

こんなとき使う: 場合分けの条件に「〜のとき」と入れたい、数式の横に「ただし」と断り書きしたい等、 数式モードの中で普通のテキストを混ぜたいとき。

source
\begin{cases}
  x  & \text{(x が 0 以上のとき)} \\
  -x & \text{それ以外}
\end{cases}
result
f(x)={x(x が 0 以上のとき)xそれ以外f(x) = \begin{cases} x & \text{(x が 0 以上のとき)} \\ -x & \text{それ以外} \end{cases}

text コマンドで囲まないと数式モードとして処理されるので、 文字間が数式用のスペーシングになって間延びする英字は変数扱いで斜体になる環境によってはコンパイルエラーになる、といった不都合が起きます。 日本語は斜体にならないものの、他の挙動は同じなので \text を使うのが無難です。