01振り子の運動方程式
まず、振り子がどんな式で動くかを立てます。長さ ℓ の糸の先の、質量 m のおもり。円の接線方向に働く力は、重力の成分 −mgsinθ だけです(糸の張力は糸の方向なので効かない)。
弧の長さは s=ℓθ で ℓ は一定なので、接線方向の加速度は s¨=ℓθ¨。よって
mℓθ¨=−mgsinθ⟹θ¨+ℓgsinθ=0 sinθ が入っているので、この式は線形ではありません。解を足しても解にならず(重ね合わせ)、定数係数の解き方も使えません。
02sin θ ≈ θ はなぜか
そこで sinθ を θ=0 のまわりでテイラー展開します(θ はラジアン)。
sinθ=θ−6θ3+120θ5−⋯ θ が小さいと θ3 以降はずっと小さいので、sinθ≈θ です(θ>0 では θ−θ3/6≤sinθ≤θ なので、差は θ3/6 以下)。相対的なずれは 1−sinθ/θ≈θ2/6 で、角度の 2 乗で増えます。
20° くらいまで sin θ は θ とほぼ同じ(ずれ約 2%)。θ − θ³/6 まで入れると 60° くらいまで合う | 振れ | 5° | 10° | 20° | 30° |
| sin θ と θ のずれ | 0.13% | 0.51% | 2.0% | 4.5% |
演習 1
振れ 15∘ で sinθ を θ とみなすと、何 % ずれるか。
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15∘=0.2618 rad、sin15∘=0.2588。
1−θsinθ=1−0.26180.2588=0.011
約 1.1% ずれる。θ2/6=0.0114 とも合う。
03単振動になる
sinθ を θ に置きかえると、線形な単振動の式になります。
単振動の式θ¨+ω02θ=0,ω0=ℓg,T0=2πgℓθ¨+ω02θ=0,ω0=ℓg,T0=2πgℓ
この近似の範囲では、周期 T0 は振幅によらず、糸の長さと g だけで決まります(等時性)。速さに比例する抵抗があれば 減衰振動 の式 θ¨+2γθ˙+ω02θ=0 になります。
04振れが大きいと周期が延びる
等時性は近似の結果です。元の式のまま周期を求めると(楕円積分になる)、振幅 θ0 が大きいほど周期は長くなり、小さい振幅では
周期の補正T=T0(1+16θ02+307211θ04+⋯)T0=2πℓ/g
周期の比 T/T0。1 + θ02/16 は 40° くらいまでよく合う | 振幅 | 10° | 20° | 30° | 60° | 90° |
| 周期の延び | 0.19% | 0.77% | 1.7% | 7.3% | 18% |
例題 1長さ 1.00 m の振り子(g=9.80 m/s2)を振幅 20° で揺らす。周期は。
T0=2π9.801.00=2.007 s 20∘=0.349 rad,16θ02=0.0076,T≈2.007×1.0076=2.022 s20∘=0.349 rad,16θ02=0.0076,T≈2.007×1.0076=2.022 s 単振動とみなした周期より 0.015 s 長くなります。周期を 0.1% の精度で測る実験なら、この差は見えます。
演習 2
振幅 45∘ の振り子の周期は、T0 より何 % 長いか。1+θ02/16 で見積もろう。
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θ0=45∘=0.7854 rad。
16θ02=160.6169=0.0386
約 3.9% 長い(厳密な値は 4.0%)。