01なぜ行列で書くか
おもりが何個あっても同じ形で扱えて、コンピュータでも解きやすい形にします。減衰振動 の式 x¨+2γx˙+ω02x=0 は 2 階です。速度 v=x˙ も一緒に追いかけると、1 階の式 2 本になります。
x˙=v,v˙=−ω02x−2γvx˙=v,v˙=−ω02x−2γv 右辺は x,v の 1 次式なので、行列で 1 本にまとめられます。
dtd(xv)=(0−ω021−2γ)(xv),dtdu=Audtd(xv)=(0−ω021−2γ)(xv),dtdu=Auv=x˙u=(x,v)2γ=b/mω02=k/m 02位相平面
x(t) のグラフだけでは速度が見えません。(x,v) を平面の点として描くと(位相平面)、動きは 1 本の曲線になります。抵抗が弱いと渦巻きを描いて原点に近づき、抵抗が強いと揺れずに原点に入ります。
右の 2 本の直線は、まっすぐ原点に向かう特別な軌道の方向。これが次の節の固有ベクトル 右の図では、直線の上から出発すると直線のまま原点に入ります。この「向きを変えずに大きさだけが変わる解」を探します。
03向きを変えない解を探す
向きが一定の p で、大きさだけが eλt で変わる解を入れると
u(t)=eλtp⟹λeλtp=eλtAp⟹Ap=λp Ap=λp を満たす数 λ を 固有値、p=0 を固有ベクトルと呼びます。(A−λI)p=0 が 0 でない解をもつのは、行列式が 0 のとき、かつそのときに限るので(行列式)
固有方程式det(A−λI)=det(−λ−ω021−2γ−λ)=λ2+2γλ+ω02=0
これは 特性方程式 そのものです。特性方程式の根は、行列 A の固有値です。固有ベクトルは 1 行目 −λp1+p2=0 から
p=(1λ) 固有値が 2 つ違う値 λ1=λ2 なら、どの解も u=c1eλ1tp1+c2eλ2tp2 と書けます(重ね合わせ)。
例題 1γ=1.25, ω0=1(過減衰)の固有値と固有ベクトル
λ2+2.5λ+1=(λ+0.5)(λ+2)=0,λ=−0.5, −2λ2+2.5λ+1=(λ+0.5)(λ+2)=0,λ=−0.5, −2 p1=(1−0.5),p2=(1−2)p1=(1−0.5),p2=(1−2) 位相平面では直線 v=−0.5x と v=−2x。02 節の右の図の 2 本です。直線 v=−2x の上から出たもの以外は、減り方の遅い λ=−0.5 の直線に寄りながら原点に入ります。
抵抗が弱いと固有値も固有ベクトルも複素数になり、実数の向きを保つ直線がないので渦巻きになります。
演習 1
抵抗がないとき (γ=0) の A の固有値と固有ベクトルを求めよう。
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det(A−λI)=λ2+ω02=0 より λ=±iω0。固有ベクトルは (1,λ) なので
p=(1±iω0)
固有値が純虚数なので、位相平面では原点のまわりを回り続ける(縮まない)。
04和と積で見る
根を求めなくても、2 つの固有値の和と積は A からすぐ分かります(2 次方程式の解と係数の関係)。
λ1+λ2=trA=−2γ,λ1λ2=detA=ω02λ1+λ2=trA=−2γ,λ1λ2=detA=ω02 (trA,detA) の平面に置くと、3 通りがどこに分かれるかが見えます。
放物線 det A = (tr A)2/4 が臨界減衰。上側(色つき)が減衰振動、下側が過減衰 trA(対角成分の和)が負で detA が正なら、固有値の実部はどちらも負で、どの軌道も原点に近づきます。運動方程式の解の 3 通りは、(trA)2−4detA=4(γ2−ω02) の符号で分かれます。
演習 2
γ=0.6, ω0=1 のとき、固有値の和と積を、根を求めずに答えよう。
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λ1+λ2=trA=−2γ=−1.2,λ1λ2=detA=ω02=1λ1+λ2=trA=−2γ=−1.2,λ1λ2=detA=ω02=1
(実際の根は −0.6±0.8i で、和 −1.2、積 0.36+0.64=1。)